副業禁止の会社員が2棟目で法人化を決めた、迷ったときの判断軸3つ
副業禁止のサラリーマン大家が、2棟目購入のタイミングで法人化を決めた理由を実体験で書きました。法人融資で3棟分の契約を流した話と、妻名義で法人を作った具体的なスキームまで。
副業禁止の会社で働きながら、不動産投資を続けています。「さる」と申します。
1棟目は2024年の夏に、築古の木造戸建を個人名義で買いました。築古とはいえ、自分の判断と自分のお金で「資産」と呼べるものを買えたのは、人生で一番手応えのある買い物だったと思います。
ただ、その2年後、私は法人を立ち上げて2棟目を買い直しています。
「2棟目こそ法人で行こう」――言葉にすると簡単ですが、決断に至るまではかなり迷いました。会社にバレないか、妻にどう説明するか、税理士に相談するタイミング、設立費用、資本金、融資先…全部が同時に頭をぐるぐる回っていた感じです。
この記事は、当時の私と同じように「2棟目を買いたいけれど、法人化のタイミングが分からない」という副業禁止の会社員の方に向けて書いています。
特にお伝えしたいのは、私が 法人融資で3棟分の契約を流した あとで気づいた、3つの判断軸の話です。
個人で1棟、その先で私が法人化を決めた3つの判断軸
最初に結論を言ってしまいます。私が法人化を決めた理由はこの3つでした。
- 副業禁止の会社員は、個人で買えても買った瞬間に副業違反になる
- 法人で融資を通すのは、個人より一段ハードルが上がる
- 「節税」より「拡大スピード」のほうが、家族のためになる
それぞれ、当時の自分の感覚そのままで書きます。
①副業禁止の会社員は、個人で買えても買った瞬間に副業違反になる
これは法律というより、会社の就業規則の話です。
私の勤務先は副業禁止。「事業」と見なされる規模になると懲戒もあり得ます。1棟だけの「資産運用」であれば届け出と相談でクリアできましたが、2棟目以降は「事業」と判断されるリスクが一気に上がります。
ここがややこしいところで、個人名義であれば融資自体は通せます。私自身、2棟目を個人で買おうと思えば、金融機関からはOKをもらえる状況にありました。
でも、買った瞬間に副業違反です。
つまり、個人で買えるかどうかと、買ってもいいかどうかは別問題、ということ。私は「通せるけど、買ったら終わる」というジレンマの中で、法人化を本気で検討し始めました。
法人を挟むと、表向きは「家族の法人が物件を持っている」状態になり、私個人の副業ではなくなります。サラリーマンが安心して規模を拡大していくためには、どこかで必ず法人を挟まないといけない――これは、最初から分かっていれば1棟目の組み方も変わっていたな、と今でも思っています。
②法人融資で3棟流して気づいた「法人だからこそ通らない壁」
ここが一番ヒリヒリした体験です。
法人化を決めて2棟目を探し始めてから、私は 法人で融資を申し込んで3棟分 の契約を流しています。すべて、契約書まで進んだうえで融資が下りず、解除になりました。
ここで気をつけてほしいのは、これは「個人なら通っていた案件」だということです。個人属性で行けば通っていたものを、あえて法人で組もうとしたから、評価のロジックがまるで変わって弾かれた。これが法人化のリアルです。
金融機関から見ると、設立直後の法人は、
- 決算実績がゼロ
- 売上もゼロ
- 代表が物件運営の経験者ではない(私の場合、代表は妻)
という、客観的にはかなり頼りない事業者です。個人なら本人の年収・勤続年数・既存物件の運営実績で評価してもらえたところが、法人だとそのほとんどが効かなくなります。
逆に言うと、ここを乗り越えて1件目の法人融資を引けると、その後は急に話が進みやすくなります。実際、3棟流したあとに通った2棟目以降は、別の物件の話も同じ金融機関から相談ベースで持ってきてもらえるようになりました。
私は「法人で3棟流す」という授業料を払ってこれを学んだわけですが、できれば最初から知っておきたかった、というのが正直な気持ちです。
③「節税」より「拡大スピード」のほうが、家族のためになる
法人化の動機としてよく語られるのは「節税」です。
でも私の場合、法人化を決めた一番の理由は節税ではなく 拡大スピード でした。
うちには子どもが2人います。数年から十数年先には、教育費のピークが必ず来ます。そのときに「家賃収入が月◯万円の戸建が1軒あります」では、家計の助けにはならない。
個人のままちまちま規模を増やしていくのと、法人で年に1棟ずつ買えるようにしていくのとでは、10年後の景色がまったく違います。
節税は結果としてついてくるもので、目的ではない。これは顧問税理士にも言われた言葉で、自分の中でかなり腹落ちしました。
副業禁止のサラリーマンが法人を持つ現実解:妻名義で作った
ここから、具体的なスキームの話です。
副業禁止の会社員は、自分が法人の「役員」になることもアウトな会社が多いです。私の会社もそうでした。
そこで私が取った方法はこれです。
妻を代表、出資1:99、議決権は全部私に集約
法人を作るとき、
- 代表取締役: 妻
- 出資比率: 妻1%、私99%
- 議決権: 出資比率に連動 = 99%は私
という設計にしました。
代表が妻なので、表向きは「妻が運営している法人」です。会社の就業規則上、私は役員でも従業員でもありません。
一方で、株主総会の決議は議決権の多数決で決まります。99%を持っている私が、実質的にすべての意思決定をできる。物件購入も、融資契約も、法人としての方針も、最終的には私がGOサインを出せる構造です。
この設計自体、不動産投資界隈ではメジャーな手法ですが、いざ自分の妻に「代表になってほしい」とお願いするのは、想像以上に重たい話でした。妻の人生に名前と責任を載せることになるので、ここはお願いベースではなく、二人で何時間も話し合っています。
ここを軽く考えて夫婦で揉める人、わりといると聞きます。スキームとしては綺麗でも、生活の上では別の難しさがあるという話は、別の機会にもう少し書きたいと思います。
顧問税理士は法人設立と同時に契約した
もう一つ、これは胸を張って「正解だった」と言えるのが、法人設立と同じタイミングで顧問税理士を入れたこと です。
法人の決算は、個人の確定申告と難易度が桁違いです。自分でやると、本業の合間に毎晩freeeとにらめっこする生活が確定します。
月数万円のコストはかかりますが、
- 役員報酬の設計(私の場合は妻に最低限のラインで設定)
- 経費にできる範囲の判断
- 融資審査で見られる決算書の作り方
このあたりを最初から相談できる相手がいるかどうかで、法人運営の質はまるで変わります。
「儲かってから税理士を入れる」では遅い。儲かる前から、儲かる構造を一緒に作っていく。これが法人化のキモだと、今は強く思います。
法人化前に戻れるなら、絶対やっておきたい3つのこと
ここまで書いてきたことを踏まえて、もし1棟目を買う前の自分に戻れるなら、絶対やっておくこと3つです。
- 1棟目を買う前に、金融機関に「法人で2棟目を買うシナリオ」を相談する
- 妻に法人代表を頼む心理的ハードルを、甘く見ない
- 不動産業者に「法人で動きたい」と最初から伝える
特に1つ目は、本当に効きます。1棟目の融資を組んだ金融機関に、最初から「ゆくゆくは法人で買い増したい」と話しておくだけで、1棟目の組み方や融資条件が変わってきます。
私は1棟目を「個人で買える物件」として組んでしまったので、そこから法人スキームに切り替えるときに、無駄な手間と時間が発生しました。
3つ目もかなり大事です。不動産業者は、「個人で動く客」と「法人で動く客」では、紹介してくる物件の温度感が違います。法人で動くと伝えた途端に出てくる物件、というのが本当にあります。これも、4棟流したあとに、懇意の業者さんから教えてもらった話です。
まとめ:法人化は「規模」ではなく「動き方」で決める
法人化のタイミングは、よく「年間家賃収入が◯◯円を超えたら」「◯棟以上で」みたいな数字で語られます。
でも、私の体感だと、法人化を決めるべきタイミングは規模ではなく 動き方 です。
- これから事業として拡大していくのか
- 副業禁止など、個人での拡大にブレーキがかかっているのか
- 家族のために、長期で資産を積み上げたいのか
このどれかにYESなら、法人化は早いほうがいい。少なくとも、法人融資で3棟流した私が、当時の自分にもう一度言ってあげたい言葉です。
「規模が小さいから、まだ法人は早い」ではなく、「これから規模を作っていくから、法人を先に用意する」――この順序を、ぜひ覚えておいてもらえたらと思います。
次回は、妻名義法人を作るときに揉めた・困ったポイントについて、もう少し生々しく書こうと思います。
さる
副業禁止のサラリーマン大家 / 法人スキーム実践中
30代の会社員。築古戸建で個人購入 → 妻名義法人で2棟目を取得。 法人融資で3棟分契約解除という授業料を払った経験から、 融資・節税・物件管理の「数字と戦略」をリアルに発信しています。
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