妻名義法人1期目を黒字決算にした理由|売上180万・営業利益46万・銀行融資前の判断
副業禁止サラリーマンが妻名義の合同会社を設立した1期目、売上180万・営業利益46万の黒字決算で着地。税理士に黒字寄せをアドバイスされた理由と、その決算書が次の8,500万融資にどう効いた(効かなかった)か実数で公開します。
副業禁止の会社員として本業を続けながら、妻名義の合同会社で2棟目アパートを運営している「さる」です。
妻名義の合同会社を設立して、1期目の決算が終わりました。結果は 売上180万円・販管費130万円・営業利益約46万円の黒字決算。
設立1期目で黒字を出せる法人は実は少数派です。多くの場合、設立費・税理士報酬・諸経費だけが先に立って、売上はまだ立たない——これがふつうの1期目。私の法人が黒字着地できたのは、たまたま戸建Aの売却差益が1期目に乗ったからにすぎません。
それでも、税理士に「黒字にしておきましょう」とアドバイスをもらって意図的に黒字に寄せた——この判断の理由と、その決算書が その後の2棟目アパート8,500万円融資に効いた(効かなかった) 実体験を書きます。
「1期目は赤字にして繰越欠損金を残すのが定石」とよく言われますが、初融資を控えた段階では話が変わる——これが私の現時点での答えです。
結論:1期目を黒字決算にした/決算書は融資が決まった後に提出した
先に結論を整理します。
- 1期目決算:売上180万・販管費130万・営業利益46万円の黒字
- 黒字に寄せた理由:初融資を控えた段階で、銀行評価を1ミリでも上げるため(税理士アドバイス)
- 決算書が銀行に提出されたタイミング:実は2棟目アパートの 融資条件が固まった後、実行直前の最終資料として
- 融資審査の本筋:決算書ではなく、信金との月1関係と「具体的な物件を持って行った」こと
この4点を以下で順に書きます。とくに4点目——「1期目黒字を作っても、銀行審査を動かす主因にはならなかった」 という、ちょっと拍子抜けする事実は、これから法人1期目を迎える方に正直に伝えたいところです。
1期目決算の実数:売上180万・販管費130万・営業利益46万
まず数字を出します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高 | 約180万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 約130万円 |
| 営業利益 | 約46万円(黒字) |
桁感は丸めてありますが、設立して1期目の妻名義合同会社の数字はこんな構造でした。
販管費130万円の中身は、ざっくり以下です。
- 設立費用約15万円(合同会社設立の登録免許税6万+定款認証等+司法書士報酬。詳細は「妻名義の合同会社で法人化した理由」に書いています)
- 顧問税理士報酬:月15,000円×11ヶ月+決算料 = 約30万円
- その他の経費(通信費・消耗品費・打ち合わせ費・書籍など)
設立費+税理士報酬だけで45〜50万円。1期目の販管費は 法人を維持するために最低限かかる固定費 が大半を占めます。
ここから営業利益46万円残るには、売上180万円が立っている前提が必要です。次にその中身を書きます。
売上180万円の中身は戸建Aの売却差益
正直に書くと、1期目の売上180万円の大半は、戸建Aを契約後に流したときの売却差益 です。
経緯はかなり特殊で、別記事に詳しく書きました(業者が群がる物件は素人には重い|契約後に流した戸建Aと紹介料200万の話)。要点だけ言うと、
- 1,000万円台で個人で売買契約まで進んでいた戸建Aを、契約後に 法人で売買を巻き直した
- 売却は約1,280万円、取得は約1,060万円、仲介手数料が約40万円。差し引きで 約180万円の粗利 が1期目の売上に乗った
- このタイミング合わせで妻名義の合同会社を新設している(紹介料スキームを個人ではなく法人で受け取るための法人化)
つまり1期目の黒字は、運営による安定的な売上ではなく、戸建Aを流したスポット利益で立っている という構造です。家賃収入はまだ法人にはほとんど入っていません(アパートCの取得は1期目後半で、満額家賃は2期目から)。
この構造、決算書だけ見ると「売上180万・営業利益46万のスタートアップ法人」に見えますが、中身は「スポット利益+固定費の引き算」という、ある意味ふつうの不動産業ではない決算になっています。
税理士に「黒字に寄せる」とアドバイスをもらった理由
決算を組むタイミングで、税理士に相談したのが「この1期目、どこに着地させますか?」でした。
具体的には、こんな選択肢がありました。
- A:黒字決算に寄せる——営業利益数十万円のプラスを残して着地
- B:経費を寄せて赤字決算にする——繰越欠損金を残して2期目以降の黒字と相殺できるようにする
教科書的には 「1期目は赤字決算にして繰越欠損金を残すのが定石」 とよく言われます。法人税の繰越欠損金は10年間有効なので、将来の黒字と相殺すれば、その分の法人税を圧縮できる。これは普通の起業家ロジックです。
私の税理士の判断は、A(黒字に寄せる) でした。
理由はシンプルで、
- 私はこの時点で銀行融資を法人で受けたことがなく、銀行から見たら『決算実績ゼロ・代表は妻』の何者でもない法人
- 次の2棟目アパートで8,000万円規模の融資を引きたい
- 赤字決算を出すと、銀行の最初の印象が一段下がる
- 一方で黒字決算なら「1期目から営業利益が出ている法人」として、最低限の信用ベースが作れる
つまり、繰越欠損金の節税メリットより、最初の融資審査でマイナスを背負わないことを優先する という判断でした。私自身、初融資を控えた段階で銀行評価を1ミリでも上げたかったので、税理士の判断に乗りました。
結果:2棟目8,500万円融資は決算書ではなく信金関係と物件で動いた
ここからが、書きたかった本題です。
1期目黒字で決算を組んで、2期目の前半に2棟目アパートの融資交渉を本格化させました。8,300万円の物件に対して、8,500万円のオーバーローン融資を引きにいった案件 です(諸費用込の構造は「8,500万オーバーローンでも自己資金300万動いた|2棟目アパート取得の諸費用実額」に書きました)。
結論から書くと、この融資交渉、決算書はほとんど主役ではありませんでした。
実際の動きはこうです。
- 信金に月1で会いに行く関係をすでに作っていた(「信金と月1で会い続けたら変わったこと」)
- 具体的なアパートCの物件資料を持って金融機関に持ち込み
- 個人融資ルートで2回否認された後、信用金庫の本部稟議で承認(「2棟目の融資が通らない|2回否認→信用金庫で承認に至った会社員大家の実体験」)
- 融資条件(金額・期間・金利)がほぼ固まる
- そのあとで、1期目の決算書を法人の付属資料として提出
決算書を持って行ったのは、融資が決まった後 だったんです。
このタイミングの遅さは、私自身ちょっと拍子抜けでした。「決算書を見せて『この法人は健全です』とアピールして融資審査が前に進む」みたいな絵を描いていたのに、現場の動きはまったく違った。
実際に効いていたのは、
- 信金担当者との 月1の継続関係(人物評価が固まっていた)
- 具体的な物件資料(物件評価と返済可能性が定量的に立った)
- 私の 本業給与・与信 と、妻の 属性(フルタイム正社員・連帯保証ありで) を組み合わせた個人サイドの担保力
- 紹介料200万円が 法人で受け取られて手元キャッシュにあった事実(決算書というより通帳ベース)
決算書は、これらが揃った後の 最後の確認資料 として後ろから挟まれただけ。融資交渉の主筋ではありませんでした。
1期目黒字の効果と限界|決算書が効くのは「最終チェックでマイナス材料を消すこと」
じゃあ1期目を黒字にした意味は何だったのか。私の現時点での答えはこうです。
1期目黒字の効果は、「融資を動かすブースト」ではなく「最終チェックでマイナス材料を出さないこと」だった
具体的には、
- 融資が決まった後の決算書提出で、銀行担当者が 「赤字決算じゃないですね、OKです」 と最終確認して通せた
- 仮にここで赤字決算だったら、「実行直前の追加質問」「本部への再説明」が発生していた可能性が高い(信用金庫の本部稟議は意外と細部を突っ込む)
- 最悪、金利条件の再交渉や融資額の減額まで波及するリスクもゼロではなかった
つまり、決算書は 融資の入口を開く鍵ではなく、出口でひっかからないための保険 だった、というのが1期目を終えての実感です。
この役割分担を理解していなかった当時の私は、「決算書で銀行を口説く」という間違った期待を持っていました。今振り返ると、
- 決算書は「銀行を動かす材料」ではなく「銀行担当者が本部に説明するときの追加資料」
- 融資審査を動かすのは、人物(関係構築)と物件(具体物件資料)と属性(個人与信)
- 1期目黒字は、その本筋を邪魔しない最低条件を整える役割
——という整理が、いまの私の現場感覚です。
これから法人1期目を迎える方へ
最後に、これから妻名義法人や個人別法人で1期目を迎える方に、私の経験から1つだけ書きます。
1期目を黒字にするか赤字にするかは、「直近で融資を受けるか」で決めるのが現実的 だと思います。
| 状況 | 推奨 |
|---|---|
| 1期目決算後、すぐに銀行融資を受ける予定がある | 黒字寄せ(最終チェックでマイナス材料を消す) |
| 1期目決算後、しばらく融資予定なし&将来の黒字相殺を狙いたい | 赤字寄せ(繰越欠損金で節税) |
| 判断つかない | 税理士に「次の融資想定」を伝えて相談 |
私の場合は、1期目決算後に2棟目融資が控えていたので、税理士のアドバイスどおり黒字を選びました。結果としてその判断が間違っていたとは思いません。ただし、決算書が融資審査を動かした主因ではなかった ことは、正直に書き残しておきたいところです。
決算をどう着地させるかは、その法人で 何をやろうとしているかの戦略 とセットで決めるべきもの。だからこそ、法人1期目こそ「不動産融資の経験がある税理士」 に伴走してもらう意味が大きいと感じます。私自身は知人経由で税理士に出会えましたが、ネット経由で探すなら複数事務所から無料で見積もりが取れるサービスを使うのが現実的です(私が当時このサービスを知っていたら、間違いなく5〜6人比較していました)。
1期目決算を真剣に考える方へ
法人1期目の決算は、税理士の「最初の判断」がその後の融資・節税戦略を左右します。複数の税理士から無料で見積もりを取って、不動産融資の経験がある相手を選ぶのが現実的です。
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税理士選びそのものの考え方は 「不動産投資で税理士は必要か|月15,000円で顧問契約した法人大家が1年で気づいた3つの判断軸」 に詳しく書いています。
法人1期目の記帳実務(個人カードと法人カードの混在精算で詰まった話)は 「法人1期目、税理士マッチで詰まった話」 に、設立費15万円の内訳は 「妻名義の合同会社で法人化した理由」 にあります。
さる
副業禁止のサラリーマン大家 / 法人スキーム実践中
30代の会社員。築古戸建で個人購入 → 妻名義法人で2棟目を取得。 法人融資で3棟分契約解除という授業料を払った経験から、 融資・節税・物件管理の「数字と戦略」をリアルに発信しています。
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