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不動産投資の法人化、やって分かった5つのデメリット|それでも私が後悔しない理由
法人スキーム 更新 2026年8月31日

不動産投資の法人化、やって分かった5つのデメリット|それでも私が後悔しない理由

不動産投資の法人化で実際に直面したデメリットを5つ正直に公開。維持費は年31万円、赤字でも払う均等割、決算料込みの税理士費用、新設法人の融資の壁。それでも私が後悔しない理由も書きました。

不動産投資の法人化について検索すると、メリットの話ばかり出てきます。節税できる、経費の幅が広がる、規模拡大に有利。全部その通りです。私も2棟目の購入にあわせて合同会社を設立し、法人名義で築13年・木造10戸・利回り10%のアパートを持っています。いわゆる資産管理会社(自分や家族の資産を保有・管理するために作る法人。不動産に絞った場合は不動産管理法人とも呼ばれます)です。

ただ、正直に言います。法人化にはデメリットがあります。それも「調べれば分かる話」ではなく、実際にやってみて初めて重みが分かる類のものです。

私は法人化そのものは後悔していません。でも、設立前の自分に「これだけは覚悟しておけ」と言いたいことが5つあります。この記事では、不動産投資の法人化のデメリットを、私の実体験と実際の数字で正直に書きます。迷っている人は、この5つを見てから判断してください。

デメリット1. 均等割:赤字でも毎年約7万円が出ていく

法人化して最初に「地味に効くな」と感じたのが法人住民税の均等割です。均等割とは、法人の所得に関係なく毎年定額でかかる住民税のこと。資本金1,000万円以下の小さな法人でも、最低で年間約7万円かかります。

ポイントは「赤字でも課税される」という点です。

個人の場合、不動産所得が赤字なら所得税はかかりません。むしろ損益通算で本業の給与所得から引けるので、赤字が節税に働く場面すらあります。ところが法人は違います。売上がゼロでも、物件が空室だらけでも、法人が存在しているだけで毎年約7万円が確実に出ていく。

「たった7万円」と思うかもしれません。私も設立前はそう思っていました。でも、保有期間が10年なら70万円、20年なら140万円です。個人のままなら払わなくていいお金が、法人という箱を持つだけで発生し続ける。これは法人化の損益分岐点を考えるうえで、絶対に無視できない固定費です。

正直に言うと、私はまだこのパンチを食らっていない

ここは誠実に書いておきます。私の法人は1期目が黒字でした。売上180万円・販管費130万円・営業利益約46万円。黒字の年に払う均等割7万円は、正直そこまで痛くありません。

ただ、この売上180万円の大半は戸建を契約後に流したときの売却差益です。取得約1,060万円のものを約1,280万円で売り、仲介手数料を引いて約180万円の粗利が1期目に乗った。つまりスポットの利益であって、毎年立つ売上ではありません(この決算をどう組んだかは妻名義法人1期目を黒字決算にした理由に実数で書きました)。

2期目以降の売上の本体はアパートの家賃です。空室が続いた年、大きな修繕が重なった年には、当然赤字の可能性がある。そのときに初めて「利益ゼロなのに7万円払う」という均等割の本当の顔を見ることになります。

だから私は、均等割を「もう乗り越えたコスト」ではなくまだ食らっていないパンチとして数えています。法人化を検討している人も、黒字の年ではなく赤字の年の7万円を基準に考えたほうがいいです。

デメリット2. 顧問税理士が実質必須:年24万円が固定費になる

2つ目は税理士費用です。数字をそのまま書きます。

項目金額
月額顧問料15,000円
決算料月額×4ヶ月分(60,000円)
年間トータル約24万円

⚠️ この記事では以前、ここを「年18万円」と書いていました。月額15,000円を12ヶ月分しただけの数字で、決算料が抜けていました。実際に出ていくのは年24万円です。訂正します。

「個人の確定申告は自分でやっていたし、法人も自力でいけるだろう」と考える人は多いと思います。私も一瞬考えました。結論から言うと、やめたほうがいいです。法人の決算は個人の確定申告とは別次元の作業です。法人税の申告書は別表と呼ばれる書類が何枚も連なる構造になっていて、勘定科目の整理から決算書の作成、申告書の記入まで、片手間の会社員が独学で正確にこなすのは現実的ではありません。間違えたときのリスクを考えると、なおさらです。

私の場合、日々の記帳はスプレッドシートで自分で管理し、決算と申告まわりを税理士に任せる形にしています。それでも月15,000円は「保険料として妥当」と感じています。数字のプロが後ろにいる安心感は、本業を持ちながら法人を回すうえで想像以上に大きい。この顧問料で実際に何を任せているかは「不動産投資で税理士は必要か|月15,000円で顧問契約して気づいた3つの判断軸」に書きました。

「月額いくら」で比べても意味がなかった

法人を作る前、私は複数の税理士事務所に話を聞きました。見積もりは月額1万円〜3万円とけっこうばらつきます。

最初は単純に安いところが得だと思っていたのですが、話を聞いていくと差の正体は対応範囲でした。記帳代行を含むかどうか、面談は年何回か、年末調整をやってくれるか。私のように記帳を自分でやる前提なら安いプランで足りるし、丸投げしたいなら高いほうが結局は安い。「月額いくら」だけを横に並べても判断材料にならない、というのは早めに気づけて良かった点です。

もっと大事だったのは「副業禁止を分かってくれるか」

ただ、料金より先に効いた基準が一つありました。

紹介された税理士の何人かは、私に対してこう言ってきました。

「役員報酬を取って所得分散しましょう」 「節税のために、この経費も入れておきましょう」

正攻法としては、まったく正しいアドバイスです。でも私には使えない手でした。私は副業禁止の会社員で、自分に役員報酬を出すと住民税が動いて本業にばれるルートが新しく開くからです(この構造は副業がなぜバレないのかに書きました)。

つまり税理士選びで見るべきは「不動産に強いか」だけではなく、こちらの制約を飲み込んだうえで手を考えてくれるかでした。ここが噛み合わない相手だと、毎月正しいけれど使えない提案を受け取り続けることになります。

税理士は事務所によって料金も対応範囲もかなり差があるので、法人化を決めたら早めに比較したほうがいいです。私は知人経由で決めましたが、いま探すなら税理士ドットコムのような無料の紹介サービスで複数の見積もりを取って、不動産の実績と、自分の事情を説明したときの反応の両方で選ぶのが手っ取り早いと思います。顧問料は毎年出ていくお金なので、最初の選定で妥協しないことです。

デメリット3. 設立直後は融資が借りられない

これが私にとって一番痛かったデメリットです。

新設法人には決算実績がありません。金融機関から見れば「何の実績もない箱」です。どれだけ事業計画を作り込んでも、決算書ゼロ期の法人は審査の土俵にすら乗れないことがあります。

私はこれで大きな失敗をしています。法人設立後、5行に当たって合計8回断られ、そのうち3物件は売買契約まで進んだあとに融資不調で契約解除になりました。ここまでに1年4ヶ月かかっています。売買契約書に判を押して、印紙を貼って手付金を振り込んで、あとは融資特約の結果を待つだけ、という段階からの白紙撤回です。あのときの脱力感は今でも覚えています。

3回目の契約解除のとき、担当してくれた銀行員にこう言われました。

「融資はしたいのですが、稟議が通らないと思います」

「したい」と言いながら「通らない」と言う。要は「私の権限では無理です」という丁寧な断り文句なのですが、当時は「じゃあなぜ最初にそう言ってくれなかったのか」と思いました。いま振り返れば、支店の担当者が前向きでも本部の審査でひっくり返る構造なので、担当者を責めても仕方のない話です。

断られた理由も、並べてみるとバラバラでした。物件の積算評価が出ない、属性に対して借入総額が大きい、エリアが融資対象外、返済を考慮するとキャッシュフローが薄い、そして決算が出ていないので判断材料が足りない。「これさえ揃えれば通る」という単純な攻略法は存在しないというのが、8回で学んだことです。

「法人化すれば融資の幅が広がる」というのは、あくまで決算を重ねて実績を作ってからの話です。設立直後はむしろ個人より弱い。この時間差を理解せずに「法人を作ってから物件を探そう」と動くと、私と同じ轍を踏みます。融資の内諾を取ってから契約に進む——当たり前に見えて、物件への熱量が上がると守れなくなる。私は3回それをやりました。

その後どうやって法人での融資を通したかは法人融資を5行8回断られて通った話に詳しく書いています。断られる前提で数を打つ覚悟が要る、というのが実感です。

デメリット4. 法人の金は自由に使えない

4つ目は、感覚的なギャップとして一番大きいかもしれません。法人の口座に入った家賃は、あなたのお金ではありません。法人のお金です。

これも実額で書きます。私の法人が持つアパートは、税引前のキャッシュフローが年間約254万円(太陽光収入込み)。月に直すと21万円ほどが法人の口座に積み上がっていきます。

このうち、私個人の口座に流れているのは0円です

役員報酬を、私にも妻にも一切出していないからです。理由は2つあります。

  • 自分に出せない:副業禁止の会社員である私に報酬を払うと、住民税が動いて本業にばれるルートが新しく開く
  • 妻にも出さない:妻はフルタイムの正社員なので、報酬を払うと同じく住民税の通知が勤務先に行き、社会保険の扶養判定の議論まで出てくる

加えて、そもそも私は節税より融資評価を優先して決算を組む方針なので、利益を役員報酬で抜かずに内部留保として積む設計にしています。次の1棟を買うための決算書を作るなら、そのほうが効く。

結果どうなるかというと、法人の通帳残高が毎月増えていくのを眺めながら、自分の財布は1円も潤わないという状態です。私が自由に使えるのは、個人名義で持っている築古戸建(450万円・家賃5万円・返済4万円)から出る月1万円だけ。年254万円の法人CFと、年12万円の自由なお金。この非対称に慣れるまでは、けっこう変な感じがしました。

もちろん、法人の金を個人に移す道がないわけではありません。役員報酬として払うか、貸付として処理するか。ただし役員報酬は期首に決めたら原則1年間変えられませんし、貸付には利息や返済計画の整理が要る。「今月ちょっと家計が厳しいから法人の口座から10万円」みたいなことは、できないと思ってください(やると役員貸付として処理が発生し、放置すると金融機関からの印象も悪くなります)。

節税や再投資の観点では、これは正しい姿です。でも「儲かっているのに使えない」という感覚には慣れが必要でした。法人化とは、手取りを増やす手段ではなく、手取りを後回しにして器を大きくする手段だと理解しておくと、ギャップが小さくて済むと思います。

デメリット5. 副業禁止の会社員は、自分が役員になれない

最後は、私のような属性の人に特有のデメリットです。

私は副業禁止の会社員です。法人の代表になって登記簿に名前が載ると、副業とみなされるリスクがある。だから私は自分が役員にならず、フルタイム正社員の妻を代表とする合同会社にしました。世間でいう「妻を社長にする」形です。

ただ、妻を社長にすると決めてからが簡単ではなかった。名義は妻でも、実質的な意思決定は私がしたい。そこで出資比率は妻1:私99、議決権はすべて私に寄せる設計にしました。合同会社は定款(会社の基本ルールを定めた書類)で出資比率と議決権を切り離せるので、この形が組めます。逆に言うと、定款の設計を一つ間違えると「お金は出したのに決定権がない」という状態になりかねない。

定款だけは司法書士に頼みました

ここは自分でやろうとしませんでした。設立前、司法書士にはっきりこう伝えています。

「私の名前を、登記簿から完全に外してほしい」

理由は副業禁止だから、と正直に言いました。返ってきた答えは拍子抜けするほどあっさりしたものです。

「業務執行社員を奥様一人に絞る定款にすれば、出資されているだけのご主人は登記簿には載りません」

拍子抜けしました。自分だけが特殊なスキームを組んでいるつもりでいたら、合同会社の制度上そうなっているというだけの話だった。

設立にかかった実費は約15万円。合同会社は登録免許税が6万円からで、株式会社と違って定款認証も不要なので、司法書士報酬を乗せてもこの水準で収まります(株式会社だと登録免許税15万円+認証手数料で、25〜30万円コースが普通です)。この15万円の内訳と、なぜ議決権を半々にしなかったかは妻名義の合同会社で法人化した理由に書きました。設立費そのものは、いまならGVA 法人登記のようなオンラインの書類作成サービスでさらに圧縮できます。重いのは設立費ではなく、設立後の固定費のほうです。

家族名義の法人化は、夫婦の信頼関係が前提になるうえ、税務や登記の論点も個人名義よりはるかに増えます。同じ境遇の人は、副業禁止でも合同会社の登記に名前を出さない方法を先に読んでみてください。実際に1年強回してみて、手間ではなく構造の側に残ったデメリットは妻名義法人のデメリット5つにまとめています。

結論:年31万円の固定費を「投資」と割り切れるかどうか

デメリットを整理します。

  1. 均等割:赤字でも年約7万円
  2. 顧問税理士:年約24万円(月額分18万円+決算料6万円)
  3. 設立直後は融資に弱い
  4. 法人の金は自由に使えない
  5. 副業禁止だと名義・議決権の設計が必要

金額で言えば、均等割約7万円+税理士約24万円で、法人を維持するだけで年31万円前後の固定費がかかります(設立費の約15万円は初期の一回きり)。これが不動産投資の法人化の、偽らざるコストです。

月に均すと2万5,000円ほど。物件を1戸しか持っていなくても、10戸持っていても、同じように出ていきます。

それでも私は後悔していません。私の法人は1期目から黒字で、売上180万円・営業利益46万円。固定費を払ってなお、法人でなければ取れなかった節税の選択肢と、2棟目・3棟目へ拡大していくための器が手に入りました。個人の高い税率で削られ続ける未来と比べれば、年31万円は「経費」ではなく「投資」だと考えています。

逆に言えば、判断基準はシンプルです。年31万円前後の固定コストを覚悟でき、それを上回る節税と規模拡大が見込めるなら、法人化すべき。私の450万円の戸建のように、月CF1万円の小規模運用で止まるつもりなら、個人のままで十分回ります。月1万円のCFは年12万円ですから、法人を維持するだけでまるごと消えて、さらに19万円足りない計算になる。数字にすると身も蓋もないですが、この引き算が全部です。

「自分はどっちなのか」を見極めたい人は、サラリーマン大家の法人化タイミング2棟目で法人化を決めた判断軸3つも読んでみてください。法人化は怖くない。ただし、固定費と制約を知らずに飛び込むのだけは、やめたほうがいい。それが2棟目で法人化した私の結論です。

よくある質問

Q. 不動産投資で法人化しない理由として、いちばん大きいものは何ですか? 私の実感では、年31万円前後の固定費に見合う規模がまだないというのが最大の理由です。均等割の約7万円も顧問税理士の約24万円も、持っている物件が1戸でも10戸でも同じように出ていきます。だから月1万円のキャッシュフローで止まるつもりなら、法人化しない理由のほうが圧倒的に強い。私自身、1棟目の築古戸建(450万円・月CF1万円)はいまも個人名義のままです。もう一つ挙げるなら、設立直後の法人は決算実績がないぶん融資に弱いこと。「法人化すれば借りやすくなるはず」と考えて先に箱だけ作ると、私のように契約解除を食らいます。逆に言えば、この2つ——固定費を飲み込める規模と、融資を通せるだけの実績——に目処が立つなら、法人化しない理由は薄くなっていきます。自分がどちらの段階にいるかは、青色申告のまま個人でいくか、法人化するかで数字を並べて比べたので、そちらも参考にしてみてください。

Q. 法人化すると社会保険料の負担が増えるのでは? 一般には「法人は社会保険が強制加入だから重い」と言われますが、私の法人では社会保険料は発生していません。理由は単純で、私にも妻にも役員報酬を1円も出していないからです。報酬がなければ被保険者にもなりません。ただしこれは副業禁止という事情から報酬ゼロを選んだ結果であって、誰にでも当てはまる話ではありません。役員報酬を取って所得分散する設計にするなら、社会保険料は固定費に上乗せで乗ってきます。「法人の維持費がいくらか」は、役員報酬を取るか取らないかで別の絵になる、と理解しておくのが正確です。

Q. 顧問税理士は決算だけスポットで頼めませんか? 探せばあります。ただ私は月額契約にしました。理由は決算そのものより、期中に「これ経費にしていいですか」を即座に聞ける相手がいることの価値が大きかったからです。判断を年度末まで溜め込むと、間違った処理のまま1年分の記帳が進んでしまう。スポットで安く上げる選択は合理的ですが、法人1期目のように分からないことが毎月出てくる時期は、月額のほうが結局は安く付くと思います。年24万円のうち、私が払っている感覚としては半分以上が「聞ける権利」の代金です。

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副業禁止のサラリーマン大家 / 法人スキーム実践中

30代の会社員。築古戸建で個人購入 → 妻名義法人で2棟目を取得。 法人融資で3棟分契約解除という授業料を払った経験から、 融資・節税・物件管理の「数字と戦略」をリアルに発信しています。

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