利回り20%・50万円のボロ戸建を見送った理由|「激安」は買う理由にならないと学んだ2件目の内見
人生2件目の内見は、昭和50年築・50万円・利回り20%の貸し倉庫オーナーチェンジ。2回見に行って買わなかった実体験から、激安ボロ戸建の利回りの読み方と見送りの判断軸を書きます。
人生初の内覧で4,000万の賃貸併用住宅を見送った話には続きがあります。
4,000万にビビって手が出なかった男が、次に問い合わせた物件はいくらだったか。50万円です。ゼロの数を間違えたわけではありません。振り幅がひどい。でも当時の私は大真面目でした。
副業禁止の会社員として本業を続けながら、妻名義の合同会社で2棟目(築13年・木造10戸のアパート)を持っている「さる」と申します。今回は、私の人生2件目の内見——利回り20%・50万円のボロ戸建を、2回見に行って買わなかった話です。
先に結論を書いておくと、この物件を見送った判断は今でも正解だったと思っています。そして、このときに考えたことが、のちの450万円のオーナーチェンジ戸建を買う判断につながりました。
物件スペック:昭和50年築・50万円・貸し倉庫として賃貸中
ポータルサイトで見つけた物件のスペックは、ざっくりこうでした。
- 種別: 戸建(ただし現況は住居ではない。後述)
- 築年: 昭和50年築
- 価格: 約50万円
- 現況: 貸し倉庫としてオーナーチェンジ(入居者ならぬ「入庫者」付き)
- 表面利回り: 20%ほど
- 立地: 地方都市より、さらに田舎
ポイントは現況です。戸建なのに、人が住んでいない。古すぎて住居としては貸せず、貸し倉庫として貸されていた物件でした。それでも賃料は入っているので、オーナーチェンジ物件として「利回り20%」の数字が付いて売りに出ていたわけです。
50万円で利回り20%。つまり年間の倉庫賃料は、ざっくり10万円ほどの計算になります。月に直せば1万円弱。金額としては小さいですが、「50万円の投資が5年で回収できる」と読めば、数字の上ではかなり派手に見えます。
当時、最初の4,000万を見送ったあと、私はポータルサイトを毎日周回するようになっていました。その周回のなかで引っかかったのが、この物件でした。
なぜ問い合わせたか:「安ければ負けない」と思っていた
正直に書きます。当時の私の頭の中はこうでした。
「4,000万は失敗したら人生が終わる。でも50万なら、最悪ゼロになっても死なない」
4,000万にビビった反動で、思考が「安さ」に振り切れていたんです。50万円なら貯金で買える。融資も要らない。失敗しても勉強代で済む。しかも利回り20%。これで経験を積んで、うまくいけば家賃も入る——そう考えると、問い合わせない理由がなかった。
売主側の事情も、私に都合よく見えました。貸し倉庫の契約がもうすぐ終わりそうだという話だったので、「激安で買って、退去後にリフォームして、戸建賃貸として貸し出す」という絵を描いたわけです。倉庫のままでは月1万円弱でも、住居に戻せば家賃はもっと取れるはず。リフォーム済みの築古戸建賃貸、という当時流行り始めていた型に、自分もハマろうとしていました。
いま振り返ると、この時点の私は「安い」と「負けない」を混同しています。ここが今回の記事の核心なので、あとで戻ってきます。
1回目の内見:一人で外観と地域を見に行った
物件までは車で行きました。まず一人で、外観と周辺環境だけ見に行くことにしました。これは4,000万の内覧で学んだことで、営業や業者と一緒だと、どうしても相手のペースで物件を見てしまう。まず自分の目だけで見る、と決めていました。
現地に着いて最初に思ったのは、物件のことではなく地域のことでした。
「ここに、家賃を払って住みたい人はいるのか?」
地方都市の市街地から、さらに離れた田舎です。周りに商業施設らしいものは少なく、生活の足は完全に車。アパートのような賃貸物件もほとんど見当たらない。つまり「賃貸で住む」という選択肢自体が、その地域ではマイナーに見えました。
外観は、昭和50年築なりでした。ボロいことは織り込み済みだったので、外観そのものより「これを直したとして、誰が借りるのか」という疑問のほうが大きく膨らんで帰ってきました。
それでも、利回り20%と50万円という数字は魅力的でした。「中を見てから決めよう」と、業者に内見を申し込みました。
2回目の内見:業者と中へ。雨漏りで一部屋死んでいた
2回目は業者と一緒に、中に入りました。
まず、想定していなかった壁にぶつかります。現役の貸し倉庫なので、中に借主の荷物がぎっしり入っているんです。床の状態、壁の裏、収納の中——本来チェックしたい場所の多くが、荷物の向こうで見えない。オーナーチェンジ物件の内見の限界を、ここで初めて体感しました。
そして、見えている範囲だけでも致命的なものがありました。
雨漏りです。一部屋、天井から漏っていて、部屋として使えない状態でした。
倉庫として使っている借主にとっては「濡れる部屋にモノを置かなければいい」だけの話かもしれません。でも、住居として貸したい私にとっては話がまったく違います。雨漏りしている家に住みたい人はいません。買うなら屋根の修繕が前提になる。
そして雨漏りの怖さは、天井のシミの下で何が起きているか、開けてみないと分からないことです。屋根材の交換で済むのか、野地板や梁まで傷んでいるのか。天井裏の状態次第で、修繕費は数十万にも、それ以上にもなり得ます。荷物で床も見えない、天井裏も判断できない——つまり、リフォーム総額が読めない。
「50万円の物件」のはずが、リフォームを入れると総額いくらになるのか、その場で答えられない自分がいました。
見送った理由:利回り20%は「今の契約」の数字でしかなかった
帰ってから整理して、見送りを決めました。理由は3つです。
理由1:利回り20%は、倉庫契約が生きている間だけの数字
これが一番大事な気付きでした。表面利回り20%は、いま入っている貸し倉庫の賃料で計算された数字です。そしてその契約は、もうすぐ終わる見込みだった。つまり私が買った瞬間、この20%は消えてなくなる数字なんです。
オーナーチェンジ物件の利回り表記は、「その契約が続くなら」という前提付きの数字です。契約が終わる前提の物件で、その利回りを買う理由に使うのは、論理としておかしい。買った後の私が手にするのは「利回り20%の収益物件」ではなく、「雨漏りする空き家」でした。
理由2:リフォーム費が読めず、読めたとしても賃料が安すぎて回収できない
築古戸建投資の採算は、結局「リフォーム総額」と「取れる家賃」の掛け算で決まります。このエリアの戸建賃貸の家賃は、どうがんばっても安い。ということは、かけられるリフォーム費の上限も低い。
雨漏りの修繕は屋根の話なので、内装のような「やらない」という選択ができません。総額が読めない上に、読めたとしても上限を超えそう——この時点で採算の絵が描けませんでした。安い家賃の物件でリフォームにかけすぎると儲からない、という原則は、のちに300万円の空室戸建を見送ったときにも同じ形で効いてきます。
理由3:直したとして、客付けできる自信がなかった
1回目の内見で感じた「ここに家賃を払って住む人はいるのか」という疑問に、最後まで答えが出せませんでした。買えても、直せても、入居者がいなければ収益はゼロです。物件の値段がいくら安くても、この順番は変わりません。
学び:「安く買う」は正しい。「安いから買う」は間違い
この物件から持ち帰った学びを、一行にするとこうなります。
安さは、失敗したときの傷を小さくしてくれるだけで、成功の理由にはならない。
「安く買う」こと自体は、いまでも不動産投資でいちばん大事だと思っています。実際、私はこのあと土地値以下の築古戸建という軸にたどり着き、それが私の「負けない」の背骨になりました。
でも「安く買う」と「安いから買う」は別物です。50万円のボロ戸建は、たしかに安い。でも、
- 買った瞬間に消える利回り
- 読めないリフォーム総額
- 低い家賃の上限
- 見えない客付けの出口
この4つを掛け算すると、「50万円ですら高い」可能性が普通にありました。激安物件の値段には、だいたい理由が全部乗っています。
もうひとつ、実務的な学びはオーナーチェンジ物件の内見には構造的な限界があるということです。荷物(住居なら入居者の生活)があるので、中をじっくり見られない。これを踏まえて、のちに私が内覧なしで450万円のオーナーチェンジ戸建を買ったときは、「中が見えない前提で、何の材料が揃えば買えるか」を先に組み立ててから判断しました。あのときの判断の型は、この50万円の物件で「見えない怖さ」を体感していたからこそ作れたものだと思っています。
内見でどこを見るかについては、私が内見で必ず見る4つのポイントにまとめています。雨漏り・傾き・水回り・シロアリ、このあたりは築古では「あるかないか」ではなく「あったらいくらか」で見る必要があります。
まとめ:2件見て2件見送り。それでよかった
人生初の内覧は4,000万の賃貸併用住宅でビビって見送り。2件目は50万円のボロ戸建を、2回見に行って見送り。2連敗ならぬ2連見送りからの不動産投資スタートでした。
でも、この2件の見送りはセットで意味がありました。4,000万で「高すぎて怖い」を知り、50万で「安すぎても買えない」を知った。この両端を体感したことで、「じゃあ自分が買えるのは、どの条件が揃った物件なのか」という問いに変わったんです。値段ではなく条件で物件を見る——私の物件選びの2軸の原型は、この2件の見送りでできました。
見送った話は地味です。でも、2棟目までの失敗トップ10にも書いたとおり、不動産投資の実体は「買わない判断」の積み重ねです。もしいま、激安ボロ戸建の利回りに心が動いている方がいたら、その利回りが「誰の・いつまでの賃料」で計算された数字なのかだけは、問い合わせの前に確認してみてください。
激安ボロ戸建についてよく聞かれること
Q. 50万円で買える戸建って本当にあるんですか? あります。地方の、さらに郊外まで範囲を広げると、ポータルサイトにも数十万円台の戸建は普通に出てきます。ただし私が見たように、住居として貸せない状態だったり、修繕総額が読めなかったりと、価格には理由があります。「存在するか」と「買うべきか」は別の問いです。
Q. オーナーチェンジ物件の利回りはどこに注意すべきですか? その利回りが「今の契約の賃料」で計算された数字だという点です。契約の残存期間、賃料の水準が相場とズレていないか、退去されたら次はいくらで貸せるか。私のケースは貸し倉庫契約が終わる見込みだったので、表記されていた利回り20%は買った瞬間に消える数字でした。
Q. 雨漏りのある物件は買ってはいけませんか? 一律にダメとは思いませんが、「雨漏りは天井裏を開けるまで総額が分からない」前提で、最悪ケースの修繕費を乗せても採算が合うかで判断すべきです。私は、低い家賃上限に対して読めない修繕費が重すぎると判断して見送りました。逆に言えば、その読みができる経験者にとっては指値の材料になります。
Q. 激安戸建で不動産投資を始めるのはアリですか? 「安いから傷が浅い」のは事実で、入口として一概に否定はしません。ただ、安い物件ほど家賃も安く、リフォームにかけられる上限が低いという構造は避けられません。買えても入居者が付かなければ収益はゼロなので、物件の安さより先に「そのエリアで誰が借りるか」を見ることをおすすめします。
「見送る目」を養うために
2件見て2件見送った私が言うのもなんですが、見送りの精度は、見た物件の数と、自分で数字を組んだ回数でしか上がりません。物件情報の母数を増やすなら、複数社からまとめて資料を取り寄せられるOh!Ya(オーヤ)の一括資料請求が入口として手軽です。無料なので、届いた資料の利回りが「誰の・いつまでの賃料」で計算されているかを見る練習台にするだけでも、目は肥えます。
利回りの読み方やリフォーム費・出口の組み立てを体系的に入れておきたい方は、ファイナンシャルアカデミーの不動産投資スクールの無料体験セミナーという選択肢もあります。私のように現地で「読めない」と立ち尽くす前に型を入れておくと、激安物件の値札に乗っている「理由」を早い段階で切り分けられるようになります。
PR
勝つための不動産投資ドットコム
あなたの属性・目的に合った不動産投資会社を無料で紹介。30年後も信頼できる優良企業だけを厳選。無料面談から始められる。
自分に合った不動産会社を無料で紹介してもらう →さる
副業禁止のサラリーマン大家 / 法人スキーム実践中
30代の会社員。築古戸建で個人購入 → 妻名義法人で2棟目を取得。 法人融資で3棟分契約解除という授業料を払った経験から、 融資・節税・物件管理の「数字と戦略」をリアルに発信しています。
あわせて読みたい
▶ 次に読む300万円の空室戸建を、捨て値の指値でも見送った話|家賃5万・リフォーム150万で採算が合わない理由
物件選定 ・ 2026年6月25日
読者の方へ
融資・法人化で迷ったら、まずは記事をブックマークしてください
このブログは「2棟目で詰まる大家」の悩みを実体験ベースで解決するために運営しています。 新しい記事は随時追加。次の一手で迷わないために、ぜひ参考にしてください。